心でピアノ

2014.1.23

 

 今日は、Sちゃんのピアノのレッスン。

ピアノを始めて2年目の、とても明るい小学1年生の女の子です。

「将来は、ピアノの先生と学校の先生になりたいな」、と言ってくれています。

 

 今日の課題は「アン〇ンマンのマーチ」

自分から弾きたいと、張り切って練習して聞かせてくれました。

難しい指替えも、リズムもばっちり、音も優しくきれい。

・・・だけど、何かがちょっとだけ足りないかな。

こんな時には、生徒とたくさん話し合います。

 

「Sちゃん、歌詞の始まりの『そうだ』ってどういう感じなんだろう?」

「うーん。何かを思い出したのかな」

「そうか。うれしいことを思い出したんだね」

「やったーって感じかな?」

 

もう一度弾いてもらうと、とてもパワフルに音が生き生きしてきました。

 

「今度はここ。『何のために生まれて、何をして生きるのか』って、難しいね。そんなこと考えたことある?」

「ないよ」

「そうよねー。これは誰かにお話ししてるのかな?」

「ううん。自分だけで考えてると思う」

「そうね。じゃあ、心の中で考えるみたいに弾いてみようか」

 

今度は、ひそやかに心の中から語りかけるような音が出てきました。体も自然に丸く小さくなりました。

 

「最後は、『あ、あ!』のところ。いったいどうしたのかしら?」

「誰かがアン〇ンマンを見つけて、あっ!って、指さしてるんじゃない?あっちにもこっちにもいるみたいだね」

 

驚いたようなアクセントの音になりました。

Sちゃんは、ここが気に入って5回も繰り返して弾き、「アン〇マンが10人いたよ」と笑いました。

 

ピアノを弾くのは指ではなく、心。

改めてそれを感じたレッスンでした。