チャレンジする人

昨夜、新国立劇場でビゼー作曲のオペラ『カルメン』を観ました音譜

 
合唱団に入っている生徒が子ども役の一人として出演するので、そのチャレンジを応援しました。

 

彼女は子ども隊の隊長として、大きな旗を振り走り回りながら歌っていました旗
ピアノのレッスン以外での彼女を初めて見ましたので、いつもは甘えん坊な彼女が堂々と演じている様子をとても頼もしく、また嬉しく思いました。
一流の音楽家達と大きな舞台に立ち、とても良い経験だったことでしょうニコニコ

 

さて、このオペラの主役の一人ドン・ホセ役は、『千の風になって』で有名な秋川雅史さんです。
有名人だけあって、入り待ちのファン、たくさんの花、鑑賞バスツアーなど一般的なクラシックのコンサートよりも華やかな雰囲気でした。
 

席は最上階の4階の端で、下を見下ろすとかなり怖いくらいの高さでした
 
待ち時間にプログラムノートを読みました。
 
秋川さんは意外にもオペラ初挑戦だそうです。
子どもの頃からオペラへの憧れと夢を強く持っていたそうで、三大テノールとして有名なドミンゴのドン・ホセを聴いて自分もいつかその役を演じたいと思って勉強をされていたそうです。
 
有名人になってから、たくさんのオペラ出演依頼があったが、逆にオペラに対して怖さを覚え、断り続けたこと。
知名度だけでテクニックが完成していない自分が出ることで、オペラの魅力を伝えられなかったら…など。
 
葛藤の数年を過ごした後、テクニックは一生かけて磨いていくもの、今挑戦しなければ、その夢自体が本当に夢で終わってしまうかも知れない。
そしてきっとその挑戦をみんなが理解してくれるだろう、と清水の舞台から飛び降りるような覚悟で出演を決めたことなどが書いてありました。
 
 
きっと、ものすごいプレッシャーだったことでしょう。
何日も眠れぬ夜を過ごしたことでしょう。
失敗して名声に傷が付くかもしれない、ファンを失望させるかもしれない、音楽を裏切るかもしれないと恐れたことでしょう。
 
しかし彼は自分の壁にチャレンジし、乗り越え、与えられたチャンスを生かしました。
 
秋川さんは、見事に最後までドン・ホセを演じ切りました。
 
最初は少し緊張しているのだろうなと思いましたが、段々と彼は舞台とこの経験を楽しんでいるように見えてきました。そしてお客様にも楽しんで欲しいという気持ちが伝わってきました。
とても丁寧に、時に情熱的に、恋の嫉妬に狂った男を感情を込めて演じていましたハートブレイク
 
いくつになっても、本当にやりたいこと、自分の夢にチャレンジする人の姿を見て、暖かく清々しい気持ちになりました。
 
 
行きに、お洒落をした美しい80代くらいのお二人のご婦人が、手を取り合って支え合いながらホールに向かっていました。ワンピース
 
「今日は秋川さん、初めてのオペラだから、大丈夫かしら?ってまるで息子のような気持ちなのよね」
「私も初めてのオペラで緊張しちゃうわ」
「本当にね」
 
他にもオペラを観るのは初めてという声もたくさん聞きました。
秋川さんの挑戦と共に、新しい経験にチャレンジをした方もたくさんいたことでしょうね、素敵!
 
カーテンコールでは、「ブラボー」「ブラボー」の合間に「キャー♥」と黄色い?歓声が飛んでいたのも楽しい雰囲気でした。
 
最後は秋川さんのとびっきりの笑顔と投げキッスドキドキで、舞台は幕を閉じました。